【感想】非売れ線系ビーナス 『ツムツム』を観た

先日はワークショップに参加させていただきましたが、本公演と観客参加バージョンの二つも観劇しましたので、感想を書きます。

この公演は愛・地獄博というイベントの一部分で、私が参加したワークショップのほかにも参加作品がありましたが、スケジュールの都合上、非売れ線系ビーナスの本公演である『ツムツム』のみ観ることができました。

感想

以下、劇団ウェブサイトのあらすじです。

幼くして死んだ子供らが行く地獄、さいのかわら。そんな場所に、間違えておじさんが来てしまった。 おじさんは、退屈しのぎに石を積み、スコアをつけてランキング。 それじゃ罰にならないと、鬼と菩薩がなんやかや。 5秒暇ができるとなにかせずにはいられない、そんな退屈恐怖症のみなさんに送る、地獄で仏のシュールコメディ。

賽の河原は、亡者が石を積み上げて、鬼がやってきて、積み上げた石を蹴り飛ばしてしまう。だから、亡者は永遠に石を積み続けなくてはならないという地獄なのですが、鬼が蹴り飛ばすことを逆利用してゲームにしてしまいます。そして、それをめぐって鬼や菩薩、地獄観光ツアーの人たちが織りなすストーリーでした。

タイトルの『ツムツム』は、いま人気のゲームのツムツムを意識させます(劇中ではツミツミという名前だったと思いますが……)。私はツムツムをプレイしたことがないので、いまいち自信がないのですが、元のゲームでは積み上げるというようなことはなく、ツムツムという名前を賽の河原とうまく関連づけたのかなと思います。「積む」と「罪」のダブルミーニングですよね。

役者さんのあまり力が入っていないような感じの演技がとても魅力的で、これがシュールコメディであるこの作品のよさの根幹をなしているという印象でした。それによってよい感じに笑えるシーンもたくさんありました。

話の内容で印象的だったのは、賽の河原でつくったゲームがひょんなことから極楽でも流行し、競争心をもってしまった極楽の人たちが地獄い落ちてしまい、賽の河原でも人たちはゲームに興じ、さらに娯楽を求め続け、極楽に戻れなくなったということです。なんというか人間のサガを感じました。

最後は、地獄に落ちてしまった人を救うことと同時にゲーム性の向上、ゲームの運営の適正化のために、ゆずりあいの精神をもつようにルールの改変がおこなわれますが、これがうまくいって人びとは極楽に戻れたのかなどの結果はわからないまま劇は終わりました。亡者の子どもは生まれ変わることができましたが(でも、人じゃなくてツバメって最後に台詞があったのですが……)、安易なハッピーエンドではなく、うまくいくかどうかはこれからの人間次第というのは、余韻もあり、私は個人的には素晴らしいと思いました。

また、どうしても意識せずにはいられないのが、今月の22日に配信された「ポケモンGO」です。私もダウンロードしており、劇を観る直前までずっとプレイしていたのですが、公園に押し寄せる人などが問題になっている地域もあるようです。

この公演をみていても思ったのですが、ゲームなどの娯楽が悪いのではなく、けっきょくはそれをプレイする人間に左右されるなあと。この公演でも、ゲームを考え出した亡者の子どもやおじさんの責任ということが問われましたが、どこに責任の所在があるのかは、考えなくてはならないテーマなのかなと思いました。

観客参加バージョン

本公演だけでなく、観客参加バージョンにも行ってきました。「観客参加」という言葉に惹かれて、「どんな形式なのだろう」ということにとてもワクワクしながら観にいきました。

内容は、おそらく脱出ゲームのようなかたちなのでしょうか、脱出ゲームに参加したことがないので検討違いかもしれませんが……。与えられた問題や行動をこなしていくと、次に進む手がかりが得られて、最後は観客全員でゴールというようなかたちでした。

私の頭が固すぎるのかもしれませんが、謎解きは、かなり難しい印象でした。しかし、ハッと気づけた瞬間は嬉しいものですね。

すこし思ったのは、1人で行くよりも友人といっしょに観にいくと、内容について話したりできるので、もっと楽しかったかなと思います。また、冒頭の説明部分を除くと、あまり演劇的な仕掛けはなかったようにも思えるので、演技の部分を効果的に取り入れるなど、そのあたりもうまく取り入れると、さらにおもしろくなるかもしれないですね。プレイヤーがみんな同じペースで進んでいないので、なかなか難しいのかもしれませんが……。

まとめ

本公演の『ツムツム』はとても魅力的でした。福岡に来てから観劇していますが、役者の力がよい感じに抜けていて魅力的だと思える公演は、これが初めてだったかなという印象です。ストーリーもおもしろく、シュールコメディとして笑えるシーンもたくさんあったので、気を楽に観劇することができて、そこは素晴らしかったですね。

観客参加バージョンも楽しかったですが、次に同じような公演に行くときは友人を誘えるとよいかなあと。しかし、10年以上も福岡を離れていたので、福岡での人間関係がそうとうに疎遠になっているので、まずは友人づくりから始めないとですね……。