『おかしな世界で普通に生きる~非売れ的劇作ワークショップ~』に行ってきた

非・売れ線系ビーナスさんの『愛・地獄博』のワークショップに参加してきました。これは同じく『愛・地獄博』のなかにある本公演『ツムツム』のチケット購入した人のなかから希望者が参加できるワークショップでした。

ワークショップに参加するのなんて、もう数年ぶりでして、かなり緊張したのですが、楽しい経験になりました。

感想

ワークショップのテーマは、「非日常のなかの日常」ということでした。これは非・売れ線系ビーナスさんが作品づくりをするときに重要にしているポイントで、たとえば宇宙戦争をしているような状況のなかでも、そこに生きている人は、その状態が日常であり、そのようななかで日常生活を送っているというようなことでした。

ワークショップは、まずフルーツバスケットから始まりましたが、フルーツではなくマイナーな動物でグループ分けされました。

フルーツバスケットのルールは、詳しく解説しているウェブサイトをみつけましたので、こちらをご参照ください。

その次の段階では、グループ名を言うのではなく、自分がもっている属性でマイナーだと思われるものを発言して、該当する人が席を立つというものでした。「車に牽かれたことがある人」など、なかなかマイナーな内容が出てきましたが、意外と誰も立たないということは少なかったです。

自分は、「大学を退学になった」と発言したら、誰も立ちませんでした。演劇人なんて、中退がゴロゴロいると思っていたのですが、どうやらそこまでの人はそうそうはいないようです。よくよく考えると現役学生の方も多かったので、それも一因だったのかもしれません。

次は自己紹介でしたが、ただ自己紹介するのではなく、「自分が解せないものや許せないもの」などもあわせて語るという内容でした。さらに事前にカードが配られており、そのカードに記載されている言葉を必ず使うというルールもありました。パイナップルに入っている酢豚や博多祇園山笠など、これもなかなかいろいろな話が出てきておもしろかったです。

自分は、許せないものとしてInternet Explorerを語ったのですが、これはWeb制作に携わる人特有の感覚だと思います。あと、カードで配られた「いいかえると」という文章を使うのが、なかなかに難しかったです。

ワークショップは次の段階に進み、グループ分けをして、先ほどの自己紹介の内容などを下敷きにして、グループごとに架空の新しい記念日をつくるという内容をしました。その記念日は、グループみんなで共通するものをもとにしてつくるということだったので、最初はグループ内でお互いのことを知ることから始まります。

私たちのグループは、「視力が悪い」、「お酒が好き」、「甘いものが好き」などという共通点が出てきましたが、そのなかからお酒で失敗した話などに発展し、「お酒で失敗する日」という記念日をつくりました。そして、記念日をグループごとに発表するのですが、その文章は、先ほど配られたカードに書いてある言葉を必ず使用するというルールがありました。グループは5人なので、五つの単語を使って、五つの文章をつくりました。

他のグループも、嘘をついてはいけない「逆エイプリルフール」や10代~20代の女性(女装も可)が公共交通機関が無料になる「公共交通機関が無料になる日」、ラインや携帯の呼び出しを無視してもよい「のびの日」、料理のトッピングや材料がすべて別々に出てくる「セパレートデー」などおもしろい記念日がつくられていました。

最終的に、その記念日で、「得する人」、「損をする人」、そして記念日の「黒幕」をあげて、その記念日の日常の風景にそれらの人が全員なにかしらのかたちで出てくる劇をグループでつくりました。私たちのグループは、「得する人」が酒飲みのお客さん(父親)、居酒屋の店員で「損する人」が未成年、小さな子をもつ母親、「黒幕」が酒造メーカー、鹿児島県という設定の劇になりました。

ちなみに私は酒飲みのお客さん(父親)の役でした。関西に滞在したことで自然と出てしまう胡散臭い関西弁が恥ずかしいと思いながらも、ほんとうにひさしぶりに演じるということをしたのでめちゃくちゃ緊張しました。

最後は、グループごとに劇を発表します。私がとくに印象的だったのは、10代~20代の女性は公共交通機関が無料になる日の日常を描いたグループです。女性グループ(女装した男性含む)と駅員とのやりとりで、女性グループのなかにちょうど誕生日を迎えていて30代になった女性がいて、その人には無料が適用されないというような話です。これは仮に記念日が成立したら、ほんとうに実際に起こりかねないという内容で興味深かったです。

まとめ

とても楽しくワークショップに参加することができました。テーマの「非日常のなかの日常」ということは、劇をつくったり、観たりすることでなんとなく感覚がつかめたのかなというような印象です。架空の記念日の劇をつくるという内容は、たしかに現在の私たちからすると非日常にしか思えないような状況で、そこにいる人の日常を考える必要があるということで、たいへん上手なワークショップだなと思いました。

本公演の『ツムツム』は、観客参加verと通常の公演と2パターンあり、私はどちらも観る予定なので楽しみです。賽の河原がテーマということで、まさに非日常のなかで、なにが起こるのか、いまから楽しみです。